2012-03-15
Paul McCartney / KISSES ON THE BOTTOM (2012)

彼らのソロ・アルバムもRingo Starrを除き(といってもかなりの枚数を所有しておりますが)、他のメンバーのものは全て持っております。
Paul McCartneyについては、1986年の"Press to Play"以降のアルバムはほぼ一度聴いたくらいで、棚の中で眠っている状態です。
最近の彼のアルバムを聴くと、偉大なコンポーザーもいよいよ才能の枯渇か(?)、などと思ってしまいます。
彼の最新作のこの"Kisses on the Bottom"も殆ど期待しておりませんでしたが、予備知識もなくアルバムをプレイヤーに入れ、流れてくるナンバーはジャズ・ヴォーカルものでした。
これぞまさしく華麗なる変身といった感じで、雰囲気も最高で、Paulのアルバムとしては、約20年ぶりヘヴィ・ローテー状態です。
収められているのは、Paul自身のナンバーは数曲で、殆どがアメリカのスタンダード・ナンバーばかりです。
最近のPaulは年のせいか、やはり声量も衰えておりますが、こういったスタンダード・ナンバーをジャジーにアレンジして歌うのは、まさにピッタリといった感じです。
さすが、Paul McCartneyとTommy LiPumaのコラボレーションで出来上がったアルバムです。
Tommy LiPumaはMichael FranksとかGeorge Bensonなどのプロデュースをしており、こういったジャズ・ヴォーカルもののプロデュースは天下一品です。
Diana Krall (Piano)、John Pizzarelli (Guitar)、Vinnie Colaiuta (Drums)といったジャズ界屈指のミュージシャンが脇を固め、"Get Yourself Another Fool"では、Eric Claptonがギターで、"Only Our Hearts"では、Stevie Wonderがハーモニカで参加しております。
ちなみに収録ナンバーは、
01. I'M GONNA SIT RIGHT DOWN AND WRITE MYSELF A LETTER
02. HOME (WHEN SHADOWS FALL)
03. IT'S ONLY A PAPER MOON
04. MORE I CANNOT WISH YOU
05. THE GLORY OF LOVE
06. WE THREE (MY ECHO, MY SHADOW AND ME)
07. AC-CENT-TCHU-ATE-THE POSITIVE
08. MY VALENTINE
09. ALWAYS
10. MY VERY GOOD FRIEND THE MILKMAN
11. BYE BYE BLACKBIRD
12. GET YOURSELF ANOTHER FOOL
13. THE INCH WORM
14. ONLY OUR HEARTS
の14曲です。
ジャズ・ヴォーカルのファンにもAORファンにもお勧め出来る1枚です。
夜にお酒を飲みながら彼女とのひと時や、夜長に一人でコーヒーを飲みながらなどといったシチュエーションにピッタリなアルバムです。
久々にPaulの快挙かな、と私は思っております。
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2010-02-08
Various Artists / The Best Of Jazz Vocal (1998)

高校を卒業して、ある女性からMiles Davisの"Bitches Brew"を勧められたのが最初だったと思います。
彼女からレコードを借りて"Bitches Brew"を聴きましたが、これが全くピンと来なかったし、それまでジャズのイメージが難解ということもあり、この"Bitches Brew"が、私にとってはまさにそれでした。
そんな感想を彼女に話したら、次に同じくMilesの"In a Silent Way"を聴いてみては?と言われ、このアルバムも彼女から借りて、聴いてみると、"Bitches Brew"よりはかなり聴き易かったものの、その当時は殆ど興味を持てなかったですね。
サックスの音は好きだけど、トランペットの音はあまり好きじゃないのは、その時の影響かも(?)。
その後は、専ら洋楽(ロック一般、ハードロックなど)を聴いておりましたが、70年代後半になるとAORが一大ブームとなり、そちら方面に聴くものもシフトしていくこととなり、その一環でフュージョン(最初の頃は、Larry CarltonやLee Ritenourなどのギターもの)を聴くようになり、Stuff、Bob James、Tom Scott(彼についてはGeorge Harrisonのバックを務めておりましたので、殆ど抵抗なく聴けました)、The Crusadersなどを聴いていくうちに、ジャズ(こちらもWes Montgomeryやピアノを中心としたアルバムを良く聴くようになりました。
今では、結構ジャズのアルバムも持っておりますが、やはりRed GarlandやRay Bryantなどのピアノ、ベース、ドラムスのトリオによるジャズのスタンダード・アルバムを良く聴いております。
ということで、本格的にジャズを聴くようになったのは、70年代末期から80年代始めぐらいからでしょうか。
それでも、いわゆる前衛的なジャズは今でも聴きませんね。
どんなジャンルでも、メロディが重要だと思っております。
メロディの無いあるいはつまらない音楽は音楽じゃないと、思っております。
裏返せば、美しいあるいは良いメロディを持ったナンバーであれば、というか自分の好みのメロディーのナンバーであれば、どのジャンルでも聴いております。
AORであろうが、ハードロックであろうが、プログレ、メロデス・ゴシック、ブラコン、ファンク、ディスコ、ワールド・ミュージック、ジャズ、ニューエイジ、クラシックなどどのジャンルでも構いません。
このブログのジャンル分けのとおりです。
ただし、楽器の中心がトランペットやフィドルは、どういう訳か、耳が受け入れてくれません(もちろん、全く聴かないわけでありませんし、CDも何枚か持っておりますが)。
と、前置きが大分長くなってしまいましたが、本日紹介するアルバム"The Best Of Jazz Vocal"は以前に市内の中古ショップで、160円で仕入れたものです。
CBSソニーから1998年に出されたアルバムで、ジャズ・ヴォーカルもののオールディズ的なスタンダード・ナンバーが多く収められております。
収録ナンバーは、
01 Moanin' (Lambert, Hendricks & Ross)
02 Yesterdays (Carmen McRae)
03 You Don't Know What Love Is (Billie Holiday)
04 Ain't Misbehavin' (Sarah Vaughan)
05 I Didn't Know What Time It Was (Kimiko Kasai)
06 Love Dance (Geoff Keezer & Diana Krall)
07 But Beautiful (Billie Holiday)
08 God Bless The Child (Carmen McRae)
09 The Nearness Of You (Sara Vaughan)
10 Satin Doll (Marlene)
11 Take Five (Carmen McRae & Dave Brubeck)
12 These Foolish Things (Remind Me Of You) (Ella Fitzgerald)
13 'Round About Midnight (Kimiko Kasai with Cedar Walton Trio)
14 My Funny Valentine (Terumasa Hino & Grady Tate)
の全14曲です。
ほぼ全てムーディで聴き易いナンバーばかりで、夜にお酒を飲みながらとか、彼女とのひと時といったシチュエーションにピッタリなナンバーばかりです。
01は後にManhattan Transferに影響を与えたナンバーで、とてもいかしたファンキー・タッチのナンバーに仕上がっております。
三大女性ジャズ・シンガーといえば、Carmen McRae、Sara VaughanそしてElla Fitzgeraldだそうです。
02はCarmen McRaeによる1933年のジャズ・スタンダードのナンバーで、しっとりとした感じがとても良いです。
03は不世出のジャズ・シンガーと呼ばれているBillie Holidayのヴォーカルによるナンバーで、1958年に彼女が歌ってヒットさせたバラード・ナンバーです。
04はシンガー兼ピアニストとしてデビューしたSara Vaughanのナンバーで、艶のあるヴォーカルがとてもいかしてます。
05は日本が誇るジャズ・シンガー笠井紀美子がJoe Sampleのピアノをバックに情感豊かに歌い上げております。
06のDiana Krallはカナダに最近の女性ジャズ・シンガーで、Geoff Keezerのピアノをバックに歌っております。
07はBoz Scaggsも2003年の"But Beautiful"でカヴァーしているジャズのスタンダード・ナンバーです。
08はBillie Holidayがオリジナルですが、ここではCarmen McRaeが力強く歌い上げております。
09はSara Vaughanがしっとりと歌うバラード・ナンバーです。
10はDuke Ellingtonのレパートリーのナンバーですが、ここでは日本で活躍していたフィリピン出身のマリーンが軽快に歌っております。
ジャズ・ファンでなくても知られているDave Brubeckの代表的なナンバーの11ですが、ここではCarmen McRaeがDave BrubeckのピアノとPaul Desmondのサックをバックに歌っております。
12はTommy Flanaganのピアノをバックに、1973年のNew Port Jazz Festivalでのパフォーマンスを収めたものです。
13はThelonious Monkの超有名なナンバーを笠井紀美子がカヴァーしたものです。
14もジャズのスタンダード・ナンバーで、日野皓正のアルバム「トランス・ブルー」に収められていたナンバーです。
ホント、たまにこういったムーディーなジャズ・ヴォーカルのアルバムを聴くのも良いですね。
2007-11-10
Salena Jones / Journey With Salena Jones (1995)

今回のアルバムは旅情編ということで、旅に関するナンバーが収められております。
これぞ、ジャズ・ヴォーカルといったSalenaの最高にいかした声を目いっぱい聴くことができます。
一言でこのアルバムを表現すると、「もう最高!」、言うことないですね。
安心して聴けますし、このアルバムの凄いところは、あまり大きくないカフェでSalenaのライヴを聴いている、そんなシチュエーションを感じさせてくれるアルバムです。
収められているナンバーは、
1 Take The 'A' Train
2 Sentimenta Journey
3 Summertime In Venice
4 A Foggy Day
5 April In Paris
6 My Blue Heaven
7 Old Man River
8 Moonlight In Vermont
9 The Lonesome Road
10 Georgia On My Mind
11 Green Dolphine Street
12 I Thought About You
13 Slow Boat To China
14 I Left My Heart In San Francisco
15 Autumn In New York
16 Goodbye
1曲目は、もちろんデューク・エリントン楽団で有名なナンバーです。
2曲目は、リンゴ・スターもカヴァーしたスタンダード・ナンバーですね。
3曲目は、キャサリーン・ヘプバーン主演の映画「旅情」の主題歌です。
4曲目も、フレッド・アステア主演の映画「踊る騎士」の主題歌で。オリジナルはもちろんフレッド・アステアです。
5曲目は、映画ではありませんが、1931年に上演された劇のナンバーだそうです。
6曲目も有名なスタンダード・ナンバーで、確かリンダ・ロンシュタットもカヴァーしていたと思います。
7曲目はミュージカル「ショウ・ボート」からのナンバー。
8曲目も大勢のアーティストがカヴァーしており、他に有名どころは、ウィリー・ネルソンでしょうか。
9曲目もビング・クロスビーのカヴァーが有名なナンバー。
10曲目も超有名なスタンダード・ナンバーで、これも本当に大勢のアーティストがカヴァーしており、ウィリー・ネルソンもその一人ですね。
11曲目も映画のタイトル・ナンバーから。
12曲目は、ベニー・グッドマン楽団のナンバーが有名です。
13曲目は、ケイ・カイザー楽団などのレコードが有名らしいです。
14曲目も皆が知っているスタンダード・ナンバーで、1962年のトニー・ベネットがヒットさせたナンバーです。
15曲目も超有名なスタンダードですね。
16曲目もベニー・グッドマン楽団のナンバーがヒットしました。
本当に、たまにこうして、ゆったりとジャズ・ヴォーカルのアルバムを聴いてみるのも良いですね。
特にこのアルバムはスローなナンバーばかりですので、とてもリラックスが出来ます。
2007-08-01
Viktoria Tolstoy / For Alskad (1996)

掘り出し物を2枚ほど見つけてきました。
掘り出し物につきましては、その内紹介するとして、その帰りにアルタの地下にある中古CDショップ「キングコング」に寄り、見つけたCDが今回紹介するViktoria Tolstoyです。
もちろん、この名前を知っていたわけでなく、3枚500円のコーナーで見つけたものです。
で、これをCDプレーヤーに乗せて早速再生すると、聴こえてくる音はかなりいかしたジャジーなサウンドでした。
このVikoria嬢、出身はスウェーデンということで、おそらく母国語(スウェーデン語は聞いたことがないので判りません)で全曲歌っているアルバムですが、彼女の声質も私の好みですし、バックの音が本当に素晴らしいんですね。
ジャケット写真を見ても判るとおりかなりの美形です。
ジャズというほど堅苦しくはなく、結構ポップだったりします。
1曲目の"Manen Tur Och Retur"はかなりグルーヴィなサウンドですが、これをバックにして歌うViktoria嬢のヴォーカルは最高です。
メロディも良いですし、ポップさもあります。
この1曲目を聴いてすぐにこのアルバムが好きになりました。
2曲目の"Varken Angel Eller Gud"なんかはAORしたポップなナンバーで、シングル・カット出来そうなナンバーとなっております。
3曲目の"3 Dygn I Rad"はバックのホーン・セクションがファンキーなナンバーです。
4曲目の"En Bra Dag"はメロディアスなバラード・タイプのナンバーです。
バックのピアノの音がとても良い、これもAORチックなナンバーでお薦めです。
5曲目の"Och Om Jag Gav"はそれこそメロディアスなバラード・ナンバーです。
6曲目の"Lyckligt Slut"はビッグバンド風の前奏から始まるナンバーで、曲の感じはとてもファンキーです。
7曲目の"Stanna Har Hos Mej"は美しいピアノの音から入るナンバーですが、曲全体としては、とてもスムース・ジャズしたナンバーとなっており、これもお薦めの1曲です。
8曲目の"Du Ar Bast"はパーカッションにトランペットが絡む前奏から始まるナンバーで、少し気だるく歌うVikoria嬢のヴォーカルが良いですね。
アンニュイな感じが堪りませんね。
9曲目の"September Igen"はスローなナンバーです。
Viktoria嬢のヴォーカルが曲の感じに嵌ってます。
10曲目の"Moln I Din Hand"は軽快でジャジーなナンバーですが、こういった感じのナンバーでもVikoria嬢のヴォーカルは素晴らしいです。
これもまた、お薦めのナンバーです。
11曲目のタイトル・ナンバー"For Alskad"も軽快なナンバーで、スムース・ジャズといった感じのナンバーです。
ラスト・ナンバーの12曲目"Det Finaste Som Finns"はアコースティカルでメロディアスなナンバーです。
このViktoria Tolstoy嬢ですが、声質がとても素敵で、ジャジーなバックの音にピッタリです。
このアルバムは儲け物でした。
2006-08-08
Anita Baker / Rhythm Of Love (1994)

また、ジャズに対し敷居が高いと感じていらっしゃる方に対しても、充分惹き付ける魅力を持っていると思います。
そう、俗に言うブラコン・ファンからも支持を受けているシンガーです。
そんな彼女が、1994年出したアルバムが、このRhythm Of Loveです。
エグゼクティヴ・プロデューサーとしてAnita Baker自身の名前がありますが、このアルバムに収められている各曲はTommy LiPuma、Arif Mardin、George Dukeなどの名プロデューサーが務めていますし、バック・ミュージシャンをみても、George Duke、Michael Thompson、Steve Ferrone、Dean Parks、Joe Sample、Greg Phillinganes、Nathan Eastなどの有名ところが名を連ねています。
アルバム全体では、ゆったりと流れるナンバーが多いですが、とても安心して聴いてられます。
収められているナンバーの大半は彼女のオリジナルですが、2曲目の"The Look Of Love"はBurt Bacharachのナンバーで、結構馴染みのあるナンバーですが、彼女流の1曲に仕上がっているのは、さすがです。バックでのJoe Sampleの流れるようなピアノの音は最高です。この曲がとても良く仕上がっているのは、プロデューサーのTommy LiPumaのなせる業だと思いますね。
3曲目の"Body And Soul"や4曲目の"Baby"なんかは、とてもメロディアスなジャズ・ヴォーカルのナンバーで、特に4曲目は、雰囲気最高のナンバーです。
6曲目の"Plenty Of Room"はAnita Baker自身のプロデュースによるものですが、かなりいかしてます。とにかく、バックのギターがカッコ良いです。別にソロを弾いているわけではありませんが、声音がとても素敵なんです。このアルバムでギターを弾いているのは、Ira Siegalです。
8曲目の"You Belong To Me"は、Carly SimonとMichael McDonaldのペンによるナンバーで、The Doobie Brothersの曲です。このナンバーは、アレンジもだいぶ変えており、まるで違うナンバーを聴いているようです。まあ、これはこれで聴けます。何せ、バックの音、特にサックスの音が良いので。
10曲目の"Only For A While"は再びTommy LiPumaのプロデュースによるナンバーです。この辺の音作りはさすがですね。Greg Phillinganesのピアノの音が最高です。
11曲目の"Sometimes I Wonder Why"は、Joe Sampleの華麗なピアノから始まるナンバーで、この曲は完全なジャズ・ヴォーカルのナンバーとなっております。ジャズ・ヴォーカルのファンにとっては堪らないナンバーだと思います。それにしても、Joe Sampleのピアノが堪らないです。
ラスト・ナンバーの12曲目"My Funny Valentine"はジャズ・ヴォーカルの代表的なナンバーです。このナンバーでのAnita Bakerのヴォーカルはもう云うことありません。
このAnita Bakerですが、ジャズ・ヴォーカルのファンはもちろんのことブラコン・ファンやAORファンにも是非聴いていただきたいヴォーカリストだと思います。