アン・ルイス / HEAVY MOON (1983)

私は専ら洋楽が中心で、6000枚ほど所有しているCDの内、ほぼ9割が洋楽、残り1割が邦楽となっております。
邦楽も、好きなアーティストを集めるといった感じで、いろいろなアーティストを聴いているわけではありません。
どちらかというとやはりAOR系のアーティストが多いですね。
以前私のHPで沢田研二を紹介しましたが、その時にも書きましたとおり歌謡ロックも結構好きなんです。
特に、今回紹介しますアン・ルイスは大好きで、その昔には、ほぼ全てのCDを所有しておりました(今は、ボックスセットのほかベスト盤ほか何枚かですが)。
彼女のファンはかなり多いようで、70年代後半から80年代前半に出されたアルバムはCD化されましたが、全て廃盤となっておりましたので、ネット上でもかなり高額の取引がされていたようです。
中でもバラードを集めた"Cheek I II II"はとても高額の取引でしたし、今回紹介する"HEAVY MOON"はほかのアルバムより数段高かったように思います。
ところが、最近、この"HEAVY MOON"を含め、"ROMANTIC VIOLENCE"、"DRI夢・X・T・C"、"I LOVE YOU より愛してる"の4枚が紙ジャケで再発されました。
私も既に手放しておりましたので、この4枚を買いなおしました。
久しぶりに聴くアン・ルイスのヴォーカルは最高ですね。
とにかく歌唱力が抜群ですし、この頃はとてもセクシーでした。
"HEAVY MOON"は日本人ギタリスト竹中尚人(Char)との共演が話題となったアルバムでした。
アン・ルイスの魅力は、先にも書きましたが歌が上手いということセクシーさにありますが、特にバラードを歌わせたら天下一品ですし、英語の発音がネイティヴですので英詩によるナンバーがとても聴き易いということでしょうね。
このアルバムの3曲目に収められている"Dot In My Heart"は英詩の最高にメロディアスなバラード・ナンバーで、云う事無しです。
彼女の大ヒット・ナンバーに"六本木心中"がありますが、こういった歌謡ロックが彼女の本領発揮といったところなんでしょうが、彼女の声質から考えますと、バラード・ナンバーが最高に似合っている、ということは私も含め彼女のファンの中では認識が一致していると思います。
彼女もおそらくそういうことが判っていて"Cheek"の一連のアルバムを出したのだろうと思いますし、彼女のほかのアルバムでもバラード・ナンバーの出来が良いということも、バラード・ナンバーにかなり力を入れているのだろうと思います。
このアルバムには大ヒット・ナンバーの"LUV-YA"が収められておりますが、ご存知のとおりこのナンバーはNOBODYによって作られたナンバーです。
このアルバム以外にも"I LOVE YOU より愛している"とか"女・TONIGHT"、"GET AWAY"など彼等の曲を取り上げておりますが、AnnとNobodyの相性はかなり良いということが感じられます。
ほかに7曲目の"Feeling Blue"はミディアム・テンポのメロディアスなナンバーですし、4曲目の"Sick In Bed"はこれぞ歌謡ロック然としたAnnお得意のナンバーです。
また、1曲目の"Cinderella"ではCharのエレクトリック・ギターをまたラスト・ナンバーのタイトル・トラック"Haevy Moon"ではCharのアコースティック・ギターを堪能することが出来ます。
それにしても。Ann Lewisは最高ですね。
The delfonics / The Best Of The Delfonics (1984)

もちろん、The Delfonicsを一躍有名にした1968年のナンバー"La-La Means I Love You"も収録されています。
この"La-La Means I Love You"は沢山のアーティストにカヴァーされております。
有名どころとしては、Todd RundgrenやSwing Out Sisterというところでしょうか。
このナンバー"La-La Means I Love You"は最高にメロディアスなバラード・ナンバーで、ヴォーカルのWilliam Hartのファルセット・ヴォイスが素晴らしいです。
このアルバムには1曲目にこの"La-La Means I Love You"が収められております。
2曲目の"Break Your Promise"も1曲目に負けず劣らずのメロディアスなソウル・バラードです。こういったナンバーは時代が経過して古さは感じさせますが、飽きることのないナンバーで、これこそ良い音楽というものです。
3曲目の"Ready Or Not Here I Come"は、60年代ポップを感じさせるナンバーで、出だしのストリングスや途中のホーン・セクションなんかを聴くと、とてもそそられます。
4曲目の"You Got Yours"は壮大な曲作りのバラード・ナンバーで、とても素晴らしいという言葉がピッタリのナンバーです。
5曲目の"Trying To Make A Fool Of Me"はその後のフィラデルフィア・ソウルにかなり影響を与えたナンバーなんだろうと思います。Teddy Pendergrassはかなり影響を受けたのでしょうね。
6曲目の"Tell Me This Is A Dream"なんかは代表的なフィラデルフィア・ソウルのナンバーだと思います。とにかくバックの音といい、曲の感じといい、モロ、フィラデルフィア・ソウルしております。
7曲目の"Didn't I (Blow Your Mind This Time)"も6曲目に似たサウンドを持ったナンバーですが、この曲は曲感がとてもしっとりとしており、とても良く出来たメロディアスなナンバーです。
8曲目の"I'm Sorry"は都会的なサウンドのメロウなナンバーです。もう云う事無しですね。
9曲目の"You Are Gone"はこのアルバムの中ではファンキーと呼べるナンバーだと思いますが、メロディは抜群です。
10曲目の"Hey Love"は再びメロウなバラード・ナンバーで、ファルセット・ヴォイスのリード、さらにバックのコーラスといい、申し分ありません。かなり良く出来たナンバーです。
11曲目の"When You Get Right Down To It"もメロウなナンバーで、とても良いブラコンです。
ラスト・ナンバーの12曲目"Delfonics Theme"はタイトルどおりThe Delfonicsのテーマで、華麗なピアノの音に続きハープの音、曲の本編に入るとファルセット・ヴォイスにコーラスと、それこそThe Delfonicsを良く顕したナンバーとなっております。
全12曲が収められたこのベスト・アルバムですが、もちろん捨て曲は1曲もありません。
"La-La Means I Love You"は聴いたことはあるが、The Delfonicsをまともに聴いたことない人にはお薦めのアルバムだと思います。
TRW / Rivers Of Paradise (2007)
TRWって?
Michael Thompson、John RobinsonそしてMark Williamsonの3人の頭文字をとって付けられたプロジェクトのアルバムです。
John RobinsonとMark Williamsonといえば、あのAOR・ハードポップの幻のプロジェクトBridge 2 Farじゃないですか。
このプロジェクトTRWの要はMichael Thompsonらしいですが、これは紛れも無く、Bridge 2 Farの2ndアルバムでしょう。
1989年の1stは、"Heaven On Earth"というAORの名曲が収められておりましたが、このTRWでは、Michael Thompsonの存在がかなり大きく、1stに比べ幾分ハードな作りとなっております。
最近のMichael Thompsonはインスト中心のスムース・ジャズありエスニックあり、ロックありのMichaelのギターも自由奔放で、音もヴァラエティにとんだものとなっておりますが、一方で、ライヴなんかでは、Michael Thompson Bandに在籍していたヴォーカリストMoon Calhounとかなりロックしたステージを展開していたと聞き及んでいました。
今回、このTRWのプロジェクトのアルバムの発表に合わせ、あの産業ロックの名盤Michael Thompson Bandもリ・イッシューされました。
今まで初回CDがネット上でかなり高い値段が付いておりましたので、今回の再CD化はとても有難いのですが、一言言わせていただくと、追加のボーナストラック3曲については、メロディアス・ハードロックの曲としては出来も良く(特に"Right To Be Wrong"はメロディアスな最高のハードロック・ナンバーです)、かなりレヴェルの高いナンバーだと思います。
しかし、1989年に出された"How Long"のコンセプトから見ると相当浮いている感じがします。
この"How Long"は産業ロック(ハードポップ)のアルバムで、メロディアス・ハードロックのアルバムではないと私は考えております。
そういうことを考えると、これらボーナス・トラックに新曲をさらに追加し、Michael Thompson Bandの2ndとして発表して欲しかったと思うのは、私だけでしょうか。
"Give Love A Chance"こそがアルバム"How Long"なんです。
でも、今まで高値の花だった"How Long"が普通の値段で買えることは、このアルバムを聴いたことがない、あるいは再発を望んでいたファンにとっても大喜びの出来事ではあります。
一方、TRWは、先にも述べましたが、Bridge 2 Farに比べ幾分ハードな作りにはなっておりますが、AORファンにも納得の1枚です。
全体的に、John Robinsonのファンキーなドラムス、Mark Williamsonの衰えを感じさせないヴォーカル、さらにこれが最も良いところですが、Michael Thompsonのギターで、曲によってはMichaelのギターが縦横無尽に弾き捲っている部分はもう涙ものです。
アコースティカルな前奏の1曲目"Set My spirit Free"からこのアルバムは始まります。途中、どことなく、最近のMichael Thompsonのソロに入っているようなエスニックな部分もあります。
この1曲目のつながるように2曲目"River Of Paradise"が始まりますが、これが最高にメロディアスな若干ハードのナンバーで、Mark Williamsonのいかしたヴォーカル、John Robinsonの手数の多いドラムス、さらにMichael Thompsonの最高にいかしたギター・ソロ、もう、これは申し分ない産業ロックのナンバーでしょう。
3曲目の"Hold On"はBridge 2 Farに収められていても違和感のないAOR調のメロディアスなナンバーです。
4曲目の"Indiscretion"はハードなMichaelのギターから始まるブギー調のナンバーです。Michaelの多重録音による」ギターの音がとても良く、いろいろな音色を聴かせてくれています。
5曲目の"Gonna Be Some Changes"はブルージーな感じのナンバーです。John Robinsonのスティック捌きは最高です。
6曲目の"Only A Letter"はメロディアスなバラード・ナンバーで、荘厳ささえ感じさせてくれます。この辺は、Mark Williamsonの存在にあると思いますね。彼は、いわゆる、コンテンポラリー・クリスチャンのミュージシャンですから。
7曲目の"Hard Time Love"はJohn Robinsonの軽快なドラム・ソロから入るファンキーなナンバーです。曲の感じもそうですが、バックの女性ヴォーカルがさらにファンキーさを醸し出しています。
8曲目の"One Good Woman"はMichaelのロックンロールしたギターで始まるナンバーで、ご機嫌といった言葉がピッタリのナンバーです。
9曲目の"Love Comes Calling"は再び産業ロックしたナンバーです。メロディは良いのですが、どこか物足りなさを感じさせます。アレンジがイマイチなのかな?
ラスト・ナンバーの10曲目"Alimony Blues"は、スローブルースのメロディアスなナンバーです。Michael Thompsonのブルース・ギターはもう最高です。
このアルバム"Heaven On Earth"みたく飛び抜けて良く出来たナンバーこそありませんが、ハードポップのアルバムとしては充分平均点をクリアしておりますし、2曲目"Rivers Of Paradise"は名曲です。
また、このアルバムには、Neil StubenhausやLee Sklarがベースで参加しておりますし、プロデュースはTRW自身が、ミックスはBill Schneeが担当しております。
Bridge 2 FarやMichael Thompson Bandなど産業ロックのファンは買いでしょう。
No Shame / Good Girls Don't Last (1989)

もちろん、その筆頭はVIXENです。
本日紹介しますこのNO SHAMEも女性4人組のバンドです。
市内の中古ショップで見つけたCDです。
私は800円で購入しましたが、あまり見かけたことがなかったのでレア物かと思いましたが、それ程でもないみたいです。
メンバーのうち、ギターのTina ListoとドラムスのStephanie LeighはRon KeelとのプロジェクトFair Gameで2000年に"Beauty & The Beast"というアルバムを出しています。
このNo Shameの4人もVIXENに劣らずの美形の女性ばかりです。
収められている曲も出来の良いのもあればそれ程でもない曲があったりですが、演奏面では遜色ありません。
サウンド的にはVIXENに比べると落ちますが、カッコ良さは抜群といっても良いでしょうね。
1曲目のバンド名を冠した"No Shame"はとてもカッコ良いハードロック・ナンバーです。バックの演奏はカッコ良いです。Tina Listoのギター、Martie Roxanのベース、Stephanie Leighのドラムス、どれをとっても演奏力では、VIXENに負けていません。Jacqui Lynnのヴォーカルも結構迫力(といってもスクリーム系ではないの聴き易い)があります。
2曲目の"East Of Eden"でも、TinaのギターとStephanieのドラムスがカッコ良いです。
3曲目の"Cheater"はStephanieのカッコ良いドラム・ソロから入るナンバーです。ノリの良いポップ・ロックの曲に仕上がっております。
4曲目のタイトル・ナンバー"Good Girls Don't Last"はご機嫌なロックンロール・ナンバーです。
5曲目の"It Could Be You"はかなり出来が良いメロディアスなハードロック・ナンバーです。こんなナンバーだったら、決してVixenにも負けてはいないでしょうね。カッコ良いという言葉がピッタリのナンバーで、お薦めですね。
6曲目の"Wild Wild Life"もTinaのギター・ソロから入るとてもメロディアスなナンバーです。このナンバーでのJacquiのヴォーカルはVixenのJanet Gardenerを彷彿させてくれます。TinaのギターもJan Kuehnenmundと同じくらいカッコ良いです。MartieのベースやStephanieのドラムスだって、Share PedersenやRoxy Petrucciと同じくらい上手だと思います。
7曲目の"I Wanna Scream"や8曲目の"You're So Cool"はバックの演奏はとても良いですが、メロディがイマイチといったところか。この辺がVixenに比べると、ちょっとという感じなんでしょうね。
9曲目の"A Hard Man Is Good To Find"はアコースティック・ギターから入るナンバーで、途中から曲が転調してますが、これがまた素晴らしく、これぞパワーバラードといった感じの曲です。メロディアスですし、このナンバーでもバックの演奏は最高です。
ラスト・ナンバーの10曲目"Sweet Revenge"もいかしたロックンロール・ナンバーで、とてもポップな感じがします。
このNO SHAME、VIXENと比べると若干落ちる感じがしますが、かなりいかしたガールズ・バンドです。
何といってもジャケットが良いです。